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行政経営デザインメールニュース 2022年09月

新著『自治体を進化させる公務員の新改善力』の出版に寄せて

この本の出版に関しては、公職研編集者犬飼むつみさんより
最初にご連絡をいただいたのは1年以上前のことでした。
このコロナ禍にあって、働き方改革やDX推進が求められるなか、
自治体の職場に改善運動の必要性がますます高まっていることから、
職員の改善に向けた気概を高める助けとなる本があるといいのでは、
と相談を受けました。

私が、特定非営利活動法人自治体改善マネジメント研究会の理事長
でもあることからお声がけいただけたことに感謝しつつ、
今求められていることが果たして“改善運動”と言えるのだろうか、
と疑問が湧いてきたため、少しふり返ってみることにしました。

●10年前の改善運動における3つの課題

前著『地方を元気にする自治体経営を変える改善運動』を書いたのは、
2010年代半ばのことでした。
地方分権一括法の施行後10年を経過して、各自治体では、
行政経営に関する各種の仕組みや取組が導入されていました。
しかし、その中味や実態にかなり違いが出ていたのです。
そこで、違いの要因がどこにあるのかについて、
職員有志と一緒に自主研究し、結果をとりまとめて出版しました。

中でも改善運動は、多くの職員が参加して意欲的に取り組み、
全国大会も開かれるなどして、盛り上がりを見せていました。
それでも、活動を進める職員の中には、壁にぶつかり、
悩みを抱えていることがありました。
課題を整理すると大きく3つのパターンがありました。

1つめは、“改善”は本来PDCAサイクルの中で行なうものですが、
改善すること自体を目的化した活動になっていたことです。
2つめは、Planには、個人、業務、事業、職場、役所、施策など、
レベルに違いがあるのですが、Planの区別なく行なわれていました。
そのため、改善結果をナレッジ化して蓄積したり、
次に生かしきれていませんでした。
3つめは、ボトムアップの創意工夫によって生まれた改善結果には、
すばらしいものがありましたが、トップダウンで進める改革と
うまく結びついておらず、単発に終わっている状況が見られました。

分権後の自治体では自立をめざして行政経営に取り組み始めたものの、
この頃は仕組や取組を導入することで精一杯だったのでしょう。
めざす自治体の将来像や組織マネジメントとは分離した状態にあって、
職員が改善活動にやらされ感や虚しさを感じることもあったようです。

●2010年代後半以降の変化

それが、2010年代後半になって、状況は一気に変わってきます。
1つめは、まち・ひと・しごと創生総合戦略の動きが出てきて、
KPIを設定して地方創生する必要性が高まりました。
消滅可能性のある自治体にとっては、外部の機関と連携して、
新しいイノベーションを起こす革新の動きも活発になりました。
2つめは、全国に人事評価制度が義務付けられ、
上位者の設定した目標に紐づける目標体系ができました。
その設定方法や運営の質には、自治体差があるものの、
役職ごとに目標レベルの違いが意識されることになりました。
3つめは、新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックが起き、
加速したデジタル化が人々の働き方、暮らし方を大きく変えています。

地方創生の取組では、自治体がそれぞれの事情に基づいて
めざす姿と戦略を掲げ、独自の施策を打ち出す契機になりました。
また、イノベーションに向けたパートナーとの関係は、
住民との協働から、多様に公民連携・共創する関係へと広がりました。
そして、非常時が常態化しつつある危機への対応では、
現場で臨機応変に対応する力が鍛えられました。

●VUCA時代に求められる改善とは?

このように環境はどんどん移り変わり、
自治体も柔軟かつ俊敏に変化対応することが求められています。
しかし、行政組織は、全国一律の法律や制度を守りつつ、
二元代表制で意思決定された年度予算や計画を遂行する必要があり、
期待に応えることは容易ではありません。

そこで、この変化対応する力こそが新時代に求められる改善ととらえ
新著では“進化力”と定義しました。

この進化力において何よりも重視されるのが、主体性です。
変化する環境の中で、何が重要か、よりよくするとはどういうことか、
指示・命令を超えて、みずから気づき、動き出す
職員の主体性なくしては始まりません。
また、これまで経験したことのない変化に対応するには、
多様な主体と関わり、働きかけ、巻き込み、協働し、共創する
プロセスが必要です。
何が正解かわからない時代には、最初からうまくいくはずはなく、
失敗を恐れずチャレンジし、失敗から学びながら試行錯誤する
タフネスも求められます。
そして、一人ではできないことを成し遂げていくために、
進化力は、個人ではできないことを可能とする組織の存在が重要です。

今回の本では、7人の自治体職員それぞれから、
改善にまつわるケースを3つずつお寄せいただきました。
主体的に実践された経験には、進化力に通じる要素が多数
包含されていました。

ぜひご一読のうえ、みなさんご自身の、そして、今後の職場や自治体の
進化力の養成にお役立ていただければと存じます。

現在執筆者メンバーと出版後の記念イベントを企画検討中です。
読書会、セミナーなどのご要望がございましたら、
読後の感想とともに、ぜひお気軽にお寄せください。

行政経営デザイナー/プロセスデザイナー 元吉 由紀子

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