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公共組織支援メールニュース 2009年06月

研修を活用したお客様満足(CS)を高める職場風土づくり

 前回、サービス業としての提供価値を高めるための研修が、接遇スキルやCSマインド研修など、技術・スキル習得型にとどまっている場合、組織としての成果にはつながりにくいという問題提起をしました。今回は、研修を活用して、どうしたらCSを高めるような職場風土改革が可能になるのか、事例を通して考えていきたいと思います。


 ある市役所では、一部署の事業を民間委託か継続か、検討が進められていました。有識者による委員会から示された公営事業として継続するための条件は、民間並みの経営の効率化を図ると同時に、お客様の苦情を減らし、満足度を高めることでした。諮問結果を受けてCS推進部署が事務局として設置され、CS推進のための活動がスタートしました。
 事務局主導で、上司から推薦された現場の推進リーダー160名を対象に、「CS研修」が実施されました。接遇の外部講師による講義や事例を通じて「CSとは何か」を理解した後、当社が1時間ほどのグループ討議を担当し、日頃どんな取り組みをしているか意見交換をしました。このなかでは「なぜ自分がリーダーに選ばれたのか?」「自分はできているが、やっていない人が職場にたくさんいる。彼らこそ研修を受けるべきではないか?」「管理職が無関心」など、日頃の不満や職場の現状について本音も多く聞かれました。
 これらの情報をもとに、事務局では各職場を回って管理職のミーティングを開き、CSを高めるための阻害要因となっている職場の状況についてインタビューを行ないました。すると、直前に行なわれた組織改編によって現場は混乱し、負担感が強まっており、全体の方針もきちん伝わっていないということがわかってきたのです。
 そこで、推進リーダーを核とした現場での動きを支援するために、係長を対象にCSに関する考え方や管理職の役割について理解を深める機会を設けました。オフサイトミーティング形式で行なわれた「CSサポーター研修」のなかでも、「お客様と接する仕事、部署以外はCSとは関係ない」「人員削減で業務が増えているのに、CSの活動でまた業務の負荷をかけるわけにはいかない」といった過去の経験や目前の状況にとらわれた意見が噴出しました。


 理念や方針が現場にまで浸透するには、管理職が自分の言葉で、職場のなかで理解されるまで伝えていく、現場の状況を聞いて対応していく、という「やりとり」が重要です。そこで、各職場で「CSミーティング」を月一回開催することを定例化し、場の運営を担当する課長職を対象にした「CSマネジメント研修」のなかで、部署の経営理念としてのCSの実現について考え方を再確認し、どのようにこの価値観を浸透させ、現場の行動を促進することができるかという方法論や手法を学ぶことで、「よし、やってみよう」という雰囲気が醸成されていきました。


 このようにして、CSは「現場の担当者、直接お客様と接する人だけがやること」「やりたい人がやること」という職場風土から、
 

 (1)直接・間接部門問わずに、組織全体でCSを高める取り組みを行なっていく
 (2)仕事のやり方やコミュニケーションのあり方を見直す
 (3)管理職のマネジメントを通じてCS向上に前向きに取り組む人たちが動きやすい、協力してくれる人

      たちを巻き込んでいける環境をつくる
 

という状況に変わりつつあるのです。


 通常の研修では正論で「やらねばならない」→「そのためには」、という構図で受講者個人の資質に帰せがちです。今回の事例のように、現状の不満や認識にフタをせずに、研修の中で見えてきた問題をとらえ、阻害要因を取り除きながら、全体のベクトルの方向性を合わせていくことで、課題を実現できる職場風土に変えていくことができるのではないかと思います。
 

プロセスデザイナー 宮入小夜子

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