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公共組織支援メールニュース 2009年07月

「改善活動」初期プロセスで課長が果たす役割とは?

 A市では6月から「職場チーム改善セミナー」が始まりました。これは「職場チーム改善活動」を支援するプログラムで、職場(課)単位でリーダーを含めて7~8名がチームとなり、自分たちのめざしたいことに向かって改善を実践します。
 その初回は、参加チームの課長級以上の方々を対象とした<上司セミナー>でした。なぜ初回に、チームメンバーではなく課長級を対象として行なうのか。今回は、職場チーム改善活動の初期のプロセス「チームづくり」において課長が果たす重要な役割について考えてみたいと思います。


 最近の職場は市民からの厳しい視線にさらされ人員の削減が進む一方で、やるべき仕事量は増加傾向にあります。ただでさえ多忙な状況で、改善メンバーとして集まること自体に負担を感じる人が少なくありません。また、職場を良くすることは、改善チームだけで行なうものではありませんが、職場の皆の協力が得られるよう、まわりへの働きかけもチーム任せになりがちです。この状況を打破するためには、「誰をチームメンバーにするのか」「職場全体が協力して改善に取り組める環境をどうつくるのか」が大きな課題になります。
 改善活動は、メンバー一人ひとりがやらされ感ではなく、内発的動機にもとづいて取り組み、実践された時、改善は前進します。メンバーが自らの問題意識や主体的な意思から活動に取り組む、この環境づくりは上司である課長の役割であり、活動が生きたものになるかを左右するといっても過言ではありません。そのため本セミナーでは、まず、課長級以上の皆さんを対象にしたプログラム<上司セミナー>を最初に実施しているのです。


 課長が「よりよくしたい」という思いを持ったキーマンを発掘できること、そのキーマンに改善チームメンバーになってもらうようどう動機づけるのか、メンバーが実践できるように「責任は自分がとるから思いきってやれ」と背中を押すこと、課を越えて協力し合える環境をつくることなど、課長のスポンサーシップがチーム形成には欠かせません。
 その第一歩は、部下の思いに耳を傾けながら、改善活動で何をめざしていくのか、自分の思いと部下の思い、そして課のめざす方向性とすり合わせながら一緒に考え、話し合いをすることです。
 改善活動では、その活動内容についてはレイアウト変更、挨拶運動、事務改善などさまざまなアイデアが出てくるのですが、「活動をする」ことが目的になってしまい、「何のために改善をするのか」が見落とされていることが多々起きています。「何のために」がない活動を続けていることで、新しいアイデアが出てこない、継続されない、といった悩みを抱えている自治体も多くあるようです。
 A市では、部および課のビジョンを策定しています。<上司セミナー>では、課長が自ら掲げたビジョンを披露し合い、そこへの思いや課の現状、改善活動への期待などを共有し、ビジョンを実現するために課長は何をすればいいのかを話し合いました。
 そして職場に戻り、今度は、ビジョン実現への方向性、職場改善チームとしてメンバーがやりたいという思いをすり合わせ、接点を見出していく話し合いをしています。改善で何をめざすのか、決して押しつけるのではなく、部下と一緒に考えていくプロセスがとても重要なのです。活動の初期プロセスで課長がメンバーの内発的動機を引き出すことが、「何のための改善なのか」をメンバーが考え、改善活動に主体的に取り組むことにつながっていきます。


 A市の「職場チーム改善セミナー」の次回は、チームメンバーが集まるセッションです。<上司セミナー>を経て、課長と思いを共有し活動でめざすものを話し合ったメンバーが集まってくる予定です。どんな思いを持ったメンバーが集まり、どのような話し合いになるのか私たちも今から楽しみにしているのです。
 

プロセスデザイナー 荻田由紀

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