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公共組織支援メールニュース 2011年06月

経営幹部と職員が連携し合える仲間になる

 5月の連休明けに「公務員の組織風土改革世話人交流会」を神戸で開催しました。この会は2000年から始まり、今年で12年目を迎えています。2009年からは、ここから派生してできた「参謀交流会」(トップと職員とのハッピーな関係づくりを考える経営幹部の会)と合同で開催しています。そして、合同開催の回を重ねるにつれ、徐々に会全体に新たな変化を及ぼすようになってきました。


 ▼これまでの経緯は、2009年4月のメールニュースでご紹介
  http://www.scholar.co.jp/mailnews/backnumber/ks06.html


 今回の開催では、4つの市町から、出向や嘱託、副市長や町長などの立場で新しく自治体に就任した経営幹部たちが、庁内で変革の動きをつくるため、プロパー職員と一緒に2人から4人のチームを形成して参加していたことに特徴がありました。


 どんなポジションの人にとっても、組織は、一人の力で動かせるものではありません。ともに動く人が必要です。では、組織の中で、どのようにして一緒に動く人を増やしていくのでしょうか。
 人を動かす方法は、大きく二つあると思います。一つは、上司の指示・命令や組織の制度・仕組みを通じて、強制力を働かせて動かす方法。もう一つは、思いを共有する人をみつけ、一緒に仲間となって周りに働きかけ、組織内に主体的な動きを広げていく方法です。
 自律的な組織を築いていくためには、主体的なアプローチが重要です。しかし、広く組織全体に影響をもたらし、定着を図るためには強制力をうまく組み合わせていくことも必要です。
 なかでも、経営幹部には、立場上、制度・仕組みの導入や意思決定に関わる場面が多くなります。それゆえに、職員との間には“指示する人”と“指示される人”の上下関係ができあがってしまうため、対等な“仲間”としての関係を築いていくことは、実はとても難しい課題となってきます。


 今回の世話人交流会に参加された廿日市市の副市長川本達志さんも、これまで様々な行政改革を手がけてきました。合併市における新しい総合計画づくりや経営品質向上の取組み、組織目標管理制度、事業仕分けの導入、一係一改善活動や職員の行動規範づくりなど、様々な手法を導入してきました。これらの取組みを通じて、職員が自主的に考え、行動してくれるようになってほしいと期待しているからです。しかし、なかなか思うようには進みません。


 川本さんは、そんな悩みを参謀交流会で話しつつ、他の参加者たちから、「職員と接するときは暗い顔をせず笑顔で話したほうがいいですよ」「うちの役場では、課長たちと月に一度半日オフサイトミーティングをやっています」「部内で職員が互いのよいところをみつけて感謝状を贈る取組みをやってみました」などの様々な経験談を聞き、自分の役所の職員にとって何が有効か、そのために自分はどうすればいいのかを、ずっと思案してきていました。
 そして、今回やっと、一緒に取組む行政改革担当の管理職と一般職の二人の職員を連れて交流会に参加することにつながったのです。これまで何度も語り合って来た参謀たちは、川本さんのこれまでにない晴れやかな顔を見て、自分ごとのように喜びました。彼が上司として“指示・命令”をするのではなく、ともに取組む仲間としてこの交流会に“誘う”職員ができたこと、そこに至るまでに何年もの苦労と努力があったことを感じ取っていたからです。


 最後に、交流会後、川本さんから寄せられた感想をご紹介します。この交流会で大切にしている「当事者であること」「本音を語ること」「弱みを見せること」「(耳を澄ませて)よく聴くこと」が、人の心を支え、新しいつながりを紡ぐ場になっていることを知り、私にとってもうれしく、励みになりました。

 

プロセスデザイナー・元吉由紀子

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