Column コラム
公共組織支援メールニュース 2013年07月
もしも改革担当部署に配属されたら・・・
4月に年度が替わって、新しい職場に異動する。これは、公務員ならよくある光景です。しかし、その異動先が改革担当部署だったとしたら、あなたはどう思うでしょうか。「やったぁ~!」と、思わずガッツポーズをとるでしょうか。それとも困惑し、頭を抱えるでしょうか。もしくは、「いったい何をすればいいんだろう?
まぁ、行ってみたらわかるか」と、ニュートラルに淡々と受けとめるでしょうか。
庁内に数多くある仕事の中でも、“改革する”ことを専門とした部署はめったにないものです。そこで、あなたが“改革担当部署に配属された”と仮定します。この「改革」の内容は、特に組織風土改革の取組みとし、担当者がまず初めに遭遇するであろう新しい仕事のやり方、求められるパラダイム転換のポイントをご紹介します。
●「過去を引き継がない」仕事のやり方
既存の仕事であれば、「前例踏襲」するものがあり、前任者から引き継ぎを受けて、まず憶え、それをやっていけば業務をスタートすることができます。
改革部署であっても、なぜ改革部署ができたのかという背景や、これから何を変えようとしているのかといった目的があるものです。
また、地方分権や市町村合併の流れから、昨今では役所内でも行政改革が進んできましたので、これまで何を変えてきたのかという経緯や、これから何を変えていくのかという将来に向けた計画があったりするでしょう。
しかし、改革担当部署の役目は「変える」ことですから、前例が通用しない世界です。過去のすべてを鵜呑みにするのではなく、今一度見直してみることが大切です。「改革」について、方針や制度等の仕組みをつくることだけを「改革」としてとらえてはいなかったでしょうか。もし制度がうまく機能しておらず、何か問題があるのだとしたら、「何のために」「何を変えようとして」「いかに変えていくのか」という、改革のとらえ方ややり方から変えていく必
要があるかもしれません。
過去の延長線で粛々と仕事をこなすのか、過去と決別して新しい未来を築いていく一歩を踏み出すのか、見定めをしていくことが、「変える」ための前提条件となります。
●「上意下達だけでは動かない」という仕事のやり方
組織は、上意下達によって運営されています。改革担当部署であっても上司はいて、部下は指示を受けて仕事をしています。この上意下達の組織運営により今の組織の風土・体質がある、ということを忘れてはいけません。
それゆえに改革を担当する職員は、上司から指示を受けたとき、「はい、わかりました」とそのまま即動くことは、既存の思考・行動様式を踏襲してしまう危険性があります。特に、総務部や企画部など既存組織の中に改革担当課がある場合には、要注意です。他の課と横並びで部長から指示が出たり、計画の進捗管理が求められることがあるからです。旧来の仕事のやり方のまま進めてしまうと、どんなに優れた内容の改革メニューを組んだとしても、実際に進めるときに、単なる「こなし作業」になってしまうことでしょう。
一方、新しい首長が就任時に、首長の意図を直接受けやすい環境として首長直轄の改革部署をつくる場合があります。しかし、この場合でもいざ動き出そうとすると、既存の組織の風土・体質には馴染みにくいことが多々あります。他の経営幹部からは「一体どういうことだ!?」「そんなやり方ではだめだろう」などと横から指摘や助言が入ってくることもあるものです。それに対して、「これは首長の指示でやっていることですから」などと、形式的に返答しても
反発は大きくなるばかりです。
既存の組織内にあっても、あるいは首長の直轄部署であったとしても、最後は上意下達を越えて、自分の意志をもっているかどうかにかかってきます。「なぜ」「何のため」「何をめざして」変えようとしているのかを、自分の思い、自分の言葉で答えられるようになることは、上司と部下が指示・命令ではなく、めざす姿を共有する同志としてつながることを意味しています。
三つめのポイントは、「自分を知り、自ら変わろうとする」仕事のやり方です。実は、これがいちばん大事なところです。だから、次号でクローズアップしてお届けします。
「改革する」仕事には苦労を多く伴いますが、やりがいも大きく、みずから大きく成長する機会になるものです。新しく改革部署に配属された担当者には、チャンスを生かし、苦労を楽しみながら思う存分チャレンジをしていただければと思っています。
プロセスデザイナー/行政経営デザイナー 元吉 由紀子