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公共組織支援メールニュース 2009年10月

改革の量から質への転換

 最近いろいろな役所を訪れるたびに感じることがある。それは、この10年の間に「改革」が随分と現場に浸透してきているということだ。ひと昔前ならば、「改革」は「どこかで、誰かがやっている、特別なこと」だった。それが今では「いつでも、どこでもやっている、当たり前のこと」になってきた。市町村合併、職員の定数削減、財政の健全化、指定管理者や地方独立行政法人への移行、政策評価や人事評価など、様々な仕組み改革が行なわれ、どの自治体でもほぼひととおりの種類が揃い始めている。


 これら「仕組みの量」が充足されてくる一方で、仕組みを動かしている「運用の質」を見てみるとどうだろうか。組織全体にある種の“改革慣れ”や“改革疲れ”といった慢性疲労の状態が潜み、仕組みを運用する力を足踏みさせているのではないだろうか。職員は、人数が少なくなって余裕をなくし、目の前の課題をこなすことに追われている。その結果、「仕組みをつくった」ことをイコール「改革をした」ことにしてすませてはいないだろうか。


 この背景には、行政組織ならではの特性もあるようだ。職員は、仕事をするときに常に議会や住民への説明責任を伴っている。それぞれの事業の必要性、有効性、妥当性などを述べなければならない。それゆえに、責任を背負っている管理職たちは非難されないようにとつい身構えて、「きちんとやっています」「うまくできています」といった現状を良しとする評価をしがちである。


 しかし、このような「何も問題はない」という認識は、「これ以上改善する必要はない」という判断につながって、今後の進展の道がつくりにくくなる。また、個々の仕組みの中で完結してしまうと、他の仕組みとのつながりが見えないままとなる。行政組織においては、人事・組織と政策(事業)と財政が三本柱でありながら、組織の縦割りの壁が厚く、それぞれに方針や計画、仕組みを設定することが多いことから、現場では相互に接点を持たないまま別々に運営されることがしばしば見受けられる。


 本来改革を進めていくために大切なことは、「仕組みをつくる」ことよりも、「仕組みをうまく活用して、よりよい経営を実現していく」ことにある。それには、仕組みを動かす現場と仕組みをつくっているスタッフ部門の職員が、“変える目的”について一緒に考え合う対話の場をつくり、「そもそも何のためか」「何を実現したいのか」に遡って現状を見直し、「現状の何が問題か」を積極的に顕在化して、「変えるために何が必要か」、「これまでと異なる成長の機会をみつけ出していく」ことが重要である。それには、目標や評価の指標を再設定していくことや、仕組みを修正して独自の仕組みにつくり込んでいくプロセスも欠かせない。


 そして、これらの取組みを展開していくかなめとなるのが管理職の存在である。管理職が、自部署にだけ目を向けていたのでは、職員も目の前の課題から目をそらすことができなくなる。管理職どうしが部署を越えて連携し、より高い目標を共有して積極的に関わりを持つことが、個々の仕組みを回すことから視野を広げ、仕組みをつなげて全体最適のシステムを機能させていくもとになる。今後行政改革の質を向上するためには、管理職のマネジメントレベルをいかに引き上げていくか、“管理職の育成”が重要な課題となってくる。


 私たちは、風土改革支援の現場で改革推進部署の皆様と接し、行政改革が“量”から“質”への転換期にきている状態を感じている。しかし、その転換期に気づいていない組織が圧倒的に多いことも、目の当たりにしている。仕組みが充足してきた行政組織は、運用の“質”を考える機会を持ってみてほしい。また、「何から、どう考えればいいのか、どんな視点で見ればいいのか」そこに悩むときには、ぜひ私たちや対話会の場を活用していただけたらと思う。
 

プロセスデザイナー 元吉由紀子

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