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公共組織支援メールニュース 2013年01月

首長の新春メッセージは、職員の心に届いているか

 新しい年のスタートにあたり、組織のトップが様々なメッセージを発しています。役所では、首長は新春メッセージをどのように発信し、職員はどのように受信しているのでしょうか。公務員の組織風土改革世話人交流会参加経験者の皆さんと交わした情報も参考にしながら、新春という機会に発する首長のメッセージの真価を考えてみたいと思います。

 まず、首長が語るメッセージの内容に目を向けてみます。
 首長は、住民から選ばれた地域の長であると同時に、行政組織の長でもあります。新春メッセージの内容をみると、これら両方の立場を念頭において考え、語っていることがわかります。また、どちらに軸足を置くのかによって、発言の内容は異なってくるようです。
 地域の長という立場からは、自分たちの地域が今どんな課題を抱え、住民とともにいかに解決していく必要があるのか、という政策を方向づける内容が中心となります。
 一方、行政組織の長という立場からは、地域が抱える課題に対してこの一年間どのようなスタンスで仕事に臨み、いかに進めていけばいいのかという、組織マネジメントの内容が中心となります。

 では、職員の“聴き方”はどうでしょうか。
 地域の課題や政策等の話題については、定例会見や議会、地域イベントなど、折にふれて首長がメッセージを発する機会があることから、職員もいささか耳慣れしているところがあります。それだけに、自分の業務に関わるところだけを聞き取って他は聞き流す受けとめ方をしがちなものです。
 それに比べ、仕事の進め方やマネジメントの考え方などは、すべての仕事に共通していることから、どの職員も自分ゴトとして耳を傾けて聞くことができるものです。首長が職員と同じ目線に立って、どんな仕事においても必ず大事にする姿勢や心構えなどをわかりや
すい言葉で伝えていくと、職員に身近に感じられ、役所全体で一体感を築くもとになります。
 ただし、それには首長の生の声をリアルタイムで聞く、という場面設定が大切です。小さな役所であれば大きな会場に職員全員が集まって、直接話を聞くことが可能です。合併市町村などでは、離れている庁舎間を首長が移動してメッセージを届ける努力をしているところがありました。

 規模の大きな自治体では、全職員が参加するわけにもいかず、管理職以上が招集されることになってしまいます。そこで、職場に残っている職員には庁内放送で聴けるようにしたり、各職場に設置している議会放映用のモニターで同時中継をするなど、媒体を活用して補完しているところも見受けられます。

 しかし、メッセージを流すだけで職員の心に届くとは限りません。管理職が席を外している職場では、皆がこのメッセージに注意を傾けて視聴するためには、さらなる工夫が必要です。また、わかりやすい言葉は、平易な言葉なだけに、耳触りよく安易に受けとめてすませてしまいがちです。聞いて終わりにしないためには、直接話を聞いて来た管理職が、その後職場で実際のマネジメントの中に取り入れて実行していくことが、本当の意味でメッセージを職員の心に届けることにつながります。ある自治体では、年初に語る組織マネジメント上の留意点を、年度末に発する施政方針と組み合わせて、年度当初の組織運営方針のベースにしていくといった周到な組み立てをしているところがありました。

 首長の新春メッセージの真価は、それを職員がいかに受けとめて行動につなげられるかどうかにかかっています。皆さんの自治体ではいかがでしたでしょうか。
 皆さまがよい一年のスタートを切られたことを願って、本年もどうぞよろしくお願いします。

行政経営デザイナー 元吉 由紀子

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