Column コラム

btn

行政経営デザインメールニュース 2020年03月

改善活動の事務局機能(後編)

前回は、各自治体で改善事例をとりまとめている事務局が果たす トップ(首長)を補佐する機能について述べました。今回は、年度末に表彰や発表会を実施するだけでなく、これを次年度の 職場のマネジメントを支援する機能と職員の改善力を育てる機能につなげていくポイントをご紹介いたします。

●職場のマネジメントを支援する機能

1) 「改善」を次年度のプランにつなげる

年度末に各部署から集めた改善情報について、全庁的な発表会や 表彰を実施している自治体が多くあります。ただ、それで“終わり” になってはいないでしょうか。
「改善」は、PDCAサイクルの最後のA(Action)にあたりますが、今年度のサイクルは次年度のサイクルにつながってこそ持続可能な組織づくり、地域づくりに生かされます。

そこで、事務局では、改善(A)が次のプラン(P)に反映されて いるのかについて、きちんとフォローしておくことが大切です。
それは、改善がそもそも何のプランに基づく改善であったのか について、主に次の2点をとらえておくことから始まります。
 ・事業に関する改善であれば、「事業評価シート」の事業目標や内容に反映されているか。
 ・事業評価シートのない事業や一般業務であれば、課長や係長が作成している「組織目標」に反映されているか。

自治体によっては「事業評価シート」に改善事項を記入する欄がない場合があります。その場合は、改善事項を記入できるよう、様式を変更する必要が出てきます。
「組織目標」については、様式はあっても人事評価制度における「個人目標」の一環として設定されており、庁内全体で共有されて いない場合があります。これだとせっかくの改善も個人のノウハウに 留まり、担当者が替わるともとに戻ってしまう可能性があります。 組織の改善力として根付かせるためには、「組織目標」を「個人目標」と切り離して庁内共有できるよう運用していくことが 大切です。

2) 改善情報を活用して、職場での改善取組みを支援する

各部署から集めた改善情報を、事務局ではどのように職場に戻して いるでしょうか。

職場では、所属長も職員も人事異動する可能性があるため、 年度ごとに活動が途切れてしまう可能性が多々あります。そこで、 改善情報を部署ごとに経年で蓄積し、職場の傾向を分析して、 これをフィードバックすれば、より質の高い改善取組みを誘発できる ようになります。

また、各部署にどんな「マニュアル」が整備されているのか、いつ 更新されているのかなどの情報も把握しておきます。マニュアルが 整備、更新されていれば、誰もが当たり前の標準業務として 実施できるようになり、歯止めがかけられるからです。 マニュアルは、昨今の働き方改革などで進められているRPAなどの 作業を進めるときにベースとなるものとしても重要です。

なお、庁内全体の改善情報は、その種類と成果を整理して蓄積しておけば、改善情報を部署間で活用する機会が広がります。各職場には 全庁の改善情報を見渡すだけのゆとりがないでしょうから、事務局が仲立ちをして有効な情報を紹介することが、相互の関係を築くことにつながります。これら改善情報を整理・蓄積することから、各職場で情報を活用する 機会が増えてくると、庁内の改善感度は次第に高まってきます。すると他団体の改善情報にもアンテナを張るようになり、より高い 改善にチャレンジすることも増えてくるでしょう。

●職員の改善力を育てる機能

職場内で個々の職員の改善力を育成する役割は、本来所属長にありますので、ここでは庁内を横断した改善活動の事務局として 行う職員の育成機能について述べておきます。

一つは、「鉄は熱いうちに打て」という言葉どおり、できるだけ若い 職員の内に改善の基本スタイルを学ぶ機会をつくることが大事です。 例えば、集合研修の場を作って、改善を自ら実践する方法があります。 または、「改善発表会の運営委員会」をつくり、若手職員の有志に 担当してもらう方法もあります。発表会を通じて他部署の優秀な改善 事例を知り、改善実践者と触れ合う機会を多くつくることができれば、 改善に対する見る眼を養うとともに、モチベーションを高めることも できます。

もう一つは、「かわいい子には旅をさせよ」の言葉どおり、外部の 自治体や民間企業等へ視察に行ったり、体験したりする方法です。 異文化に触れ、外の目線を持つことで、新しい発想を持ち、発見が しやすくなります。それには、あらかじめ少しチャレンジングな 政策課題を提示して、部署を横断した「ワーキングチーム」などを 形成し、自分たちで解決策を考え、提案するような取組みを実施する ことが適しています。 これはある程度組織に慣れ、既存の価値観に染まって来た30代に、 これまでの殻を破る経験として設定するとよいかもしれません。

どちらも「楽しんでやる」ことが大事です。まゆをひそめて取り組んで いたのではおもしろくなくなり、新しい発想やチャレンジが湧いて 来ませんから。また、これら職員の育成取組みをしっかり見守り、 陰ながら応援する職場環境づくりをしていくことも欠かせません。

自治体には、地方創生など、新しい取組みを期待されることが増えてきました。改善活動においても、職員、職場の自主性、主体性を 生かしながら新たな革新を生み出していくことが求められています。しかし、参加する職員の自主性、主体性にただ委ねるだけでは、組織に有効なボトムアップ活動にはなりにくいものです。

より効果的、効率的な行政経営を実現するためには、職場を マネジメントする課長の課題創出力、係長の目標設定力と 若手の発想力、中堅職員の提案力の両アプローチを準備し、連携していくことが重要です。それには、それぞれの職員や取組みに関わり、 進捗状況に応じてときに牽引、ときに後押しするきめ細かな支援が 事務局に期待されています。

行政経営デザイナー/プロセスデザイナー 元吉 由紀子

btn2
nxprev_01 nxprev_01 nxprev_01
topbtn
TOP組織・代表紹介サービスメディア実績支援実績コラム書籍・研究学会発表公務員ネットワーク活動講演お問合せ
サイトのご利用について個人情報保護方針
Copyright © Scholar Consult Co.,ltd. All Rights Reserved.