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公共組織支援メールニュース 2010年02月

「チェンジエージェントが官民をつなぐ」

 ここ10年くらいでCSR(企業の社会的責任)という考え方が急速に広がり、これまでの、利潤を追求する営利組織と公共のための非営利組織という明確な区別がつきにくくなってきました。
 ISL(アイ・エス・エル)は、野田智義さんという方が「公徳、情熱と志、創造力を兼ね備えた、社会全体のイノベーションを実現するリーダーを輩出する」ことを目的に、仲間と一緒に10年前に設立した特定非営利法人(NPO)です。ISLでは、哲学・宗教・自然科学など、世界や社会に広く強い関心を持った一人称で行動するリーダーを育成し、これまで大企業から派遣された400人以上の卒業生が、高い志を持って各企業の経営に携わっています。


 野田さんがもともと持っていた問題意識は、社会の公器としての企業が社会の問題解決やよりよい社会に貢献するために、経営者が高い志を持ち、事業を通して社会を変革していくリーダーにならなければならないということでした。スコラ・コンサルトは、ISLの設立初期から運営面やセッションの担当などを通してISLの活動に関わってきました。それは、組織や社会の中に埋もれた思いや志を持った変革リーダーを発掘し、支援し、ネットワークすることで、変革のエネルギーが創出されるという考え方を共有できたからだと思います。


 ISLの理念のもと、企業発の社会変革リーダー人材に加え、世界的な社会問題の解決に企業家精神をもって解決しようとする人材を発掘し支援するために、2年ほど前に社会イノベーションセンターが設立されました。昨年秋には、社会起業家を支援するスイスのシュワブ財団と共に、SEOY(ソーシャル・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー)日本プログラムを主催し、日本発の社会起業家の活動を紹介する機会も提供し、社会イノベーションフォーラムを継続的に開催しています。


 ISLは、世界や日本の将来のために官と民をつなぐ場と機会を創出し、官民をまたぐ強力なリーダーズネットワークを築くチェンジエージェントとしての役割を担っています。現代の複雑化・深刻化する社会問題の解決のためには、従来の「官(行政)」と「民(企業)」といったセクターだけではなく、NPOや社会起業家など、クロスセクターで取り組んでいく必要があります。そのために、ISLでは既存の企業の経営リーダー育成だけではなく、新しい経済社会像・価値観を継続的につくり出すイノベーターを発掘し、支援していこうとしているのです。これは行政組織の風土改革を支援する当社にとっても共通するテーマであり、よきパートナーでありたいと思っています。


 今後、企業はますます社会的な問題への関心を強め、社会への貢献を通して存在価値や顧客満足を高めることが結果として存続・成長につながると認識し、行政組織は限られた経営資源(人的・財政的)を活かし、戦略的に自治体を経営し、地域の活性化や魅力を高めなければならない状況に置かれています。どちらも自分たちの事業を通じて、地域や社会をより良くしていく、ということがその組織の存在意義であることに変わりはないのです。
 もちろん、社会の問題を解決するという理想を掲げたすべての社会企業が、必ずしも成功するわけではありません。今こそ、官と民双方の志を持った変革リーダーをつなぐ機能として、ISLのようなNPOや当社のようなチェンジエージェントの存在が求められているのではないかと思っています。

 

プロセスデザイナー 宮入小夜子

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