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公共組織支援メールニュース 2013年03月

「気づき」の違いと次の一歩

 昨年秋から、さまざまな地域で講演会をさせていただいています。これは、拙著『期待される役所へ』の出版社である株式会社ぎょうせいが増刷記念に企画してくださったものです。
 この講演会に参加された方々から、いろいろな気づきの言葉をお寄せいただきました。これら「気づき」の中には、いくつかのパターンが見られます。

 一つめは、「再認識」のパターンです。

「講演を聞いて、なるほどと思えることがたくさんありました」「以前は職場でよくやっていたことでも、最近では確かに少なくなっています」

といった感想に表されています。
そしてこれらの言葉の後には、多くの場合、「自分がやってきたことは間違っていなかったのだと自信がもてました」「あきらめずにまたやってみようと思います」といった行動の強化、再生につながる言葉が続きます。
 これまでなんとなく肌で感じていた“感覚知”でも、確かな意味があるという認識が加わることによって“経験知”になり、「次もやろう」という行動の再現性が高まります。また、「自分はこうしています」とはっきりと周りに伝えることができるようになると、行動に広がりもでてきます。行動が習慣に、習慣化された行動が組織内に広がって新しい風土を築くことに、少しでも役立つことができるのであればうれしいことです。

 二つめは、今までやっていたことに新しい価値や見方を見出すパターンです。

「○○の大切さがよくわかりました」
「○○はやっているつもりでしたが、本当はできていなかったということに気づかされました」

などの感想があります。この後には、「自分の職場でも○○をぜひやってみたいと思います」
「今度は○○から始めてみようと思います」といった行動の宣言が付記されています。
 すでにやっていることでも、何気なくやるのか、目的を意識して、やった結果を評価しながらやるのかでは、継続したときに大きな差がでてきます。日々の習慣となっていることだからこそ、つい当たり前になって、誰も疑問を投げかけない盲点になっていることがあるものです。今一度その目的から見直して、少しずつでも改善を積み重ねていただければと思います。

 三つめは、

「このようなことは、今まで考えたことがありませんでした」
「○○の質問をされて、ハッとしました」「目からウロコでした」
という、「未知」の領域に新しく目が向けられた場合です。
 これらの感想の後には、「これから取組む必要があると感じました」「ぜひ別の階層の人たちにも聞いてもらいたい話でした」など、閉塞感を打破する機会を他の場面や人に対しても増やしていくことを期待する言葉が続きます。ただし、この場合には、「気づく」ことはできたとしても、それを自身の行動に移すまでには至りにくいところがあるようです。おそらく、認識の一部が変わったとしても、これまでの認識との違いが大きくあることから、それをどんな行動と結びつけていけばいいのかまで容易にはイメージしきれないことがあるためでしょう。
 それでも、チャレンジ精神のある人ならば、新規性のあることでも厭わずに「やってみる」とうい行動につなげていくことができるものです。講演後にメールやフェイスブックでそのようなお知らせをいただいて、私のほうがその即行力に驚かされることがあります。ただし、新しいチャレンジがそのまま順調に進むことはめったにありません。多くの場合、失敗を伴います。なぜなら、チャレンジする人自身は、失敗を乗り越える強さを持っていたとしても、その周りにいる人たちは、失敗を回避しようとする防衛心が強く働いたり、失敗をとがめる風土があり、うまくいかなかったときに、やらなければよかったという負の学習をしてしまうからです。
 新しい「気づき」の背景には、これまで「気づかず、やらずにいた」という組織の事情があります。そこに目が向かなかったのは、その価値に気づかず軽視されていたり、より重要だと思う別のものが存在していたということはないでしょうか。また、いきなりやろうとしても、やりきるだけの能力や資質が伴っていないということがあるかもしれません。
 チャレンジをするときには、このような組織の事情から起きる失敗がある、ということを知っておきたいものです。それを見越して、失敗を財産にしてそこから学び取る組織の学習環境を準備しておくことが大切です。

 講演を聞くだけで組織が変わる、などということはありません。しかし、そこで得た気づきを次の行動に結びつけていくことができれば、貴重な機会となるものです。初めの一歩を踏み出すきっかけをみつけ、そこから先も歩み続けていかれますことを、心より応援しています。
 

プロセスデザイナー/行政経営デザイナー 元吉 由紀子

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