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行政経営デザインメールニュース 2016年09月

外部評価は、経営目標の設定評価から

私は昨年から「大阪府指定出資法人評価等審議会」の委員を務めて います。

これは平成14年、太田知事時代に「経営目標の達成状況評 価制度」として開始されたものですが、その後、橋下知事、松井知 事のもとで幾度か制度変更され、今のスタイルになりました。この 審議プロセスが実にすばらしいので、ここにご紹介いたします。

大阪府では、すべての指定出資法人に対して「経営目標の設定評価」 を行なっているのです。

経営状況を見る外部評価には、かつて一世を風靡した「事業仕分け」 などがありますが、その多くは「業績結果」が出た後に評価するも のです。

この場合、事業を執行した後でその必要性や重要度、目標値などの 設定のし方について不適当との評価を受けたとしても、すでに実施 した分だけムダが発生してしまっていることになります。 また、外部評価委員の指摘した事項が次の計画にどのように反映さ れるのかを評価期間内には見届けきれないこともあります。

それに対して、この審議会では、戦略や目標の設定段階から関わり その設定方法について評価していることに特徴があります。 そのため、審議会は年度初めに集中して開催されます。 そして、この審議会で出た意見を踏まえて、出資法人は目標を即修 正し、当該年度の計画に反映するようにしているのです。

特に、経営目標の中でも最も重要な目標を「戦略目標」として厳し く評価しています。目標の設定にあたっては、過去の実績や推移、 今後の目標と達成に向けた取組内容を記述するだけでなく、設定根 拠の資料として、前年度未達だった理由やCS調査の結果などを添え て、各目標のウェイトづけをして説明することを義務付けています。

また、評価対象が府の出資法人であるため、審議する前提として最 初に出資者である府の主管部局から、府としてどんな施策のめざす 姿や目標を設定しているのか、府政において法人が果たすミッショ ンは何か、どんな戦略を期待しているのか、についての説明を聞き 取るところから始めています。 その中で、もし出資法人に対する府のスタンスが不明確であったり、 環境整備が不十分だと感じられる場合には、主管部局に対して助言 や提案をすることもあります。

このように経営目標の設定段階で十分な審議が行なわれることによっ て、出資法人の経営者は、その後の経営目標の達成に向けた計画の 執行に専念することができるようになります。また、進捗管理と是 正もみずから行ないやすくなるでしょう。

この経営評価制度の仕組みは、審議会会長の山本浩二大阪府大経済 学部教授をはじめベテラン委員の皆さんと、事務局である行政改革 課とが長年連携し、経験を積み重ね改定されてできたものです。そ れによって、指定出資法人の経営は、法人運営の透明性を持ちつつ、 経営責任を明確にして、着実に自立的運営力を高めているものと見 受けられます。
組織全体の経営改善は内部の改革だけでなく、こうしたステークホ ルダーを含めた経営システム全体の機能を改善する仕組みを伴って こそ果たされるものだと実感します。

行政経営デザイナー/プロセスデザイナー 元吉 由紀子

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