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行政経営デザインメールニュース 2023年02月

やる気、やりがいを持てる年度目標の立て方

年度末が近づいて来ると、役所では人事異動が気になり始めます。
とは言え、公権力を扱う業務が多くある役所では、誰がどこに異動するのかという情報は、本人だけでなく 上司にも直前まで知らされることはほとんどありません。

それは、キャリアデザインという意味からは、異動希望がすんなりとは通らない可能性を多く含んでおり、また、上司から部下に対して異動理由が告げられないという、モチベーションの側面でも組織全体で大きなマイナスを抱えている状態と言えます。

そのため、新年度の職場においては、新しいメンバーといかにこのマイナスをカバーする良いスタートを切ることができるのかが、とても重要な課題になってきます。
ついては、新年度のスタートに備え、職員が“やる気、やりがいを持てる 年度目標の立て方”について考えてみたいと思います。

職場で年度目標を設定するときに、みなさんは 何をもとにしていますでしょうか。
(1)前任者からの引き継ぎ書、業務マニュアル
(2)担当する事業の目的や目標、予算額
(3)関連する法律・制度、分野別の方針や計画
(4)所属長が設定した組織の目標
(5)関係者や地域の抱えている課題 など

予め与えられている要件を確認しながら、自分の職位に応じた役割や責任を見定めようとするのではないでしょうか。

もちろんこれは必要不可欠な設定方法です。しかし、「やらなければいけないこと」をとらえるだけでは、「やりたい」「さあ、やろう」というやる気が必ずしも湧いて来るとは限りません。
頭で理解することと、心からやる気になることの間には違いがあるものです。

両者の接点を見出すには、「業務」からとらえるアプローチとは別に、「自分」を主語にとらえるアプローチを用意しておくことにポイントがあります。
自分にとってどんな意味があるのか、自分がこの機会をどのように生かせるのか、 自分発で能動的な意思を持つことによって同じ目標でも見え方が変わってきます。

具体的には、以下のようなアプローチがあります。


1. 自分の人生にとっての位置づけをとらえる


ワーク・ライフ・バランスと言われるように、人生において 仕事と家庭や個人、地域の生活とをうまくバランスさせることは とても大事なことです。学生時代と違い、仕事は何十年という長期間をかけて携わっていくものですから、いつもベストマッチングできるとは限りません。

結婚や出産などの大きなライフイベントがあったり、本人や家族が病を患ったり、地域の役員や学校のPTAなどの役を担うなどして、 時間的な制約が大きくなってくるかもしれません。
自分の人生の中で今年がどんな年として位置づけられるのかをとらえながら、都度調整を図っていくことがセルフマネジメントのベースとして欠かせません。


2. 将来進みたい方向を見通す


自分の人生を俯瞰して見たときに、この先5年後、10年後の自分が どんな自分でありたいのか、何を成し遂げていたいのかについて、 少し具体的なイメージを持っておくことも大切です。

このセルフビジョンを持っていることは、たとえ目の前の環境や業務に 振り回されることがあったとしても、一喜一憂せず、一時期のこととして 対処して、平常心を取り戻すことに役立ちます。

今日のように環境変化が激しく、また、予測困難な時代には、誰しも不安になったり、うまくいかないことがあって、心折れる気持ちになることも多々あるでしょう。それを乗り越えて 本来持っている力を取り戻すレジリエンスには、将来に希望を持ち続ける 信念やめざすものを持っていることが支えとなってきます。


3. 経験と強みを生かす


自分が希望していた部署への異動ではなかったり、これまで携わってきた政策分野と異なる部署へ異動したときには、初めから自信を持って臨むことは難しいものです。しかし、キャリアは政策分野や業務内容にだけ基づくものではありません。仕事のやり方、進め方において培われることがたくさんあります。

例えば、住民に接して聴き取る傾聴スキル、他機関や他団体の人たちと二人三脚で取り組む協働力、庁内連携してプロジェクトを成し遂げてきたチームワークなど。
これらはどんな職場に行き、どんな業務に就いたとしても 生かすことのできるポータブルスキルとなるものです。そこに自分の強みが見えていれば、自信を持って臨むことができるでしょう。

それには、今までの経験から自分がどんな力を付けているのか、人事評価制度の能力指標を見ながら、キャリアを書き出して、マッピングしてとらえておくことがお勧めです。
そうすれば、自分にはまだ足りない弱みも明らかになって来ますから、 新しい仕事や目標を通じてチャレンジする機会をつくっていくことにも積極的にトライできるようになります。

年度当初の部署や業務がまだ見えない3月には、ぜひその前提となる 自分を主語にしたアプローチから目標を見定めるための備えを しておいていただければと思います。

▼「キャリアマップ」については、こちらの本をご参照ください。
元吉由紀子編著『自治体を進化させる公務員の新改善力  ―変革×越境でステップアップ』公職研発行 https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20220713-664/

 

行政経営デザイナー/プロセスデザイナー 元吉 由紀子

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