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2011年 春の世話人交流会 レポート

開催概略
参加者が所属する団体 愛知県、金融庁、湖南市(滋賀県)、滋賀県、スコラ・コンサルト、総務省、新潟県、奈良県、廿日市市(広島県)、播磨町(兵庫県)、東近江市(滋賀県)、人吉市(熊本県)、兵庫県、広島県、南伊勢町(三重県)、南あわじ市(兵庫県)(合計27人)
開催日 2011年5月7日(土)~5月8日(日)
会場 神戸市勤労会館 会議室
全体の流れ

5月7日(土)
13:30 開催案内(交流会の趣旨・目標・お約束、経緯、スケジュール)
14:00 分科会 セッション1
      (3分科会に分かれてオフサイトミーティング)
      ・第1分科会、 ・第2分科会、 ・第3分科会)
18:30 全体会 一人1分自己紹介
19:30 懇親会


5月8日(日)
 9:00 「行政組織の風土・変革調査」報告
       報告者:プロセスデザイナー元吉由紀子
10:00 分科会 セッション2
      (3分科会でのオフサイトミーティングつづき)
12:00 全体会
      ・各分科会からの情報共有
      ・各自から一言感想
13:00 解散

今回の運営チーム 菊池 学(愛知県)、上田 淳子(播磨町)、小山 巧(南伊勢町)、初宿 文彦(湖南市)、中西 大輔(滋賀県)、橋本 康男(広島県)、溝口 尚也(人吉市)、元吉 由紀子(スコラ・コンサルト)
今回の経緯と特徴

 

  2000年にスタートしたこの公務員の世話人交流会は、今年で12年目を迎えました。
 私は、今回の開催地である神戸で、阪神大震災に遭い、それがきっかけとなって、公共組織の支援を始めるようになりました。人も組織も、自分だけの力で生きているのではなく、異なる人や組織がともに支え合うことによって生かされている、そう痛感したからでした。そして、地域に根付いて人や組織をつないでいくことのできる公務員の方々を少しでも応援し、役に立ちたいと思い、交流会を始めました。
 今年3月に、阪神大震災の規模をはるかに超える東日本大震災がやってきました。その規模は、阪神大震災をはるかに越えていましたが、助け合う力も当時よりはるかに高まっています。中でも、インターネットが、相互につながる速度と範囲を飛躍的に増大させる機能を果たしました。
 しかし、基本が「人」にある、ということに変わりはありません。そして、「人」が動くエネルギー源は、人の「思い」にあります。誰のためでもなく、人が自分と素直に向き合い、自分の力の至らなさに気づけば、人の力を借りることができ、人は自然とつながっていく、「人には支え合う力がある」のだと思えます。
 この交流会で大切にしている「当事者であること」「本音を語ること」「弱みを見せること」「(耳をすませて)よく聴くこと」は、そんな自分が自分を知るすべであり、人は人を介してしか、自分をよりよく生かしていくことができないものなのかもしれません。CSとESが表裏一体であるように、自分の幸せは自分に関わる人の幸せと表裏一体にあるのだなと、この場の交流を通じて、そんなことをあらためて思い直してみることができました。
 
 運営チームのメンバーは、みなこの基本を大切にして、それぞれの場をコーディネートしています。今回の交流会では、東日本大震災のことをテーマにして語り合ったわけではありませんでしたが、このように自分を、そして、自分の周りにいる人たちを、しっかりと感じ取り、受けとめ合っていく関係づくりができ、それらがつながり、広がっていけば、必ずや力強い明日の地域を元気にする行動が生まれてくるものと確信しています。
 特に、今回の交流会には、4つの市町(湖南市、廿日市市、東近江市、南伊勢町)から、経営幹部と職員が2人、3人、4人と階層を越えたチームをつくって参加されました。行政改革においては、どの自治体でも同様の仕組みの整備されるようになりましたが、庁内でこうした階層を越えた連携ができ、それぞれに外へのアンテナを張って感度を高め、フットワークよく動くことのできる自治体はめったにありません。「世話人交流会」にリピート参加しているメンバーが、前回同様「参謀交流会」との相乗りで開催する機会を生かし、新たな取組みにつなげていくための活用をされるようになったことをとても頼もしく感じています。(文責:元吉) 
 
 
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【第一分科会】 概要と参加者の感想
第1分科会は、市町村職員4人、県職員4人という構成でした。意欲的で多様なメンバーが集まったおかげで、自然な流れの中で、職場の悩みごとなどの具体的なヒントや気づきを得ながら、次の行動に向けて、前向きで楽しく、密度の濃い意見交換ができました。以下、印象的な言葉をご紹介します。
 
◆みなさん、もやもやとされていたことはわかりましたが、その方向性は一緒であったのではないか!「住みよい地域にしたいこと」、「働きやすい職場にしたいこと」。一歩ずつ、今私には何ができるのか周りを見渡して、仕掛けと雰囲気づくりと、しんどい仕事は楽しく「やる」を、皆さんの元気をいただきがんばっていきたいと思います。
 
◆4月の異動で人材育成の仕事を受け、悶々としている中での参加でしたが、気づき、学んだことがありました。
(1)人材育成は仕組みの導入と風土の改革を同時に。
(2)問題意識やいい雰囲気のないところに仕組みだけを入れても動かない。
(3)風土を変えるには小さなほっとする成功事例を積み重ねる。
(4)成功事例(いいもの)を見出しその意義を解説しみんなに共有。
(5)風土改革は市役所の中だけではなく市民に開かれた環境の中で進む。
(6)改革は行動の積み重ね。改革を応援する人と楽しそうにやり遂げることが必要。
(7)「何のために」「何を大事にして」を明確に。
(8)風土改革は百発一中の思いで、肩の力を抜いて。
 
◆参加前は、組織風土改革が得体の知れないとても大きな問題に感じられモヤモヤ感と気負いがありましたが、肩の力が少し抜け、モヤモヤ感も10m先くらいまでは晴れたように感じています。皆さんの実践事例やアドバイスを聴きはじめの一歩のヒントを得られたからです。行動の積み重ねが風土を作る(変える)という言葉が、大きな気づきと励みになりました。まずは仲間や外部の人を交えて判断基準になる目的・価値観を考えていきたい。行動する大きなうねりを起こしたい野望も生まれた。
 
◆多くの方が悩んでおられることは共通の課題が多いこと、組織の風土を変えるには、志はあるが声にださず隠れている同志をいかに見つけるかが重要であることがわかりました。そしてモチベーションが下がることはあるでしょうが、最終的にどこを目標に公務を遂行するのかが大事だと感じました。住民の方のためになる目線で公務をおこなっていればおのずとモチベーションは上がるのかと思います。
 
◆はじめての参加にもかかわらず、たった数分の自己紹介からすぐにお仲間入りさせていただき、まるで以前からお知り合いのような感覚さえ覚えたのは、課題の共有感とオフサイトミーティングという手法のすぐれた点であると認識しました。(もちろん、皆さん方の人柄も大きいと思いますが。)「気付き」と「行動」の大切さ、連携はつくるものではなく行動から連携が生まれるという言葉と出会った瞬間に、何かスッとした感覚、腹に落ちた感覚を実感しました。第一歩を踏み出せる大きな切っ掛けとなると思います。
 
◆どうして?と自分に問いかけながら、話を聴く事で、気づくことができる。公務員としていい仕事をしたい、働きやすい職場をつくることが、組織風土を変えることになる、同じように悩んで、話していくうちに、もう少し勇気をだしてやってみようと思える元気をいただいた。必要だと思うから耐えられる。肩の力を抜いて楽しんで(楽しそうに)やっていくことも必要、心に潤いのある公務員になりたい。
 
◆今やっていることがいつ成果(組織風土の変化)に繋がるのか、先が見えない、自分は全然違う方向に進んでいるんじゃないだろうかという不安はみんな同じ。そんなときに、同じように悩みながらも頑張っている全国のメンバーと語り共感し、元気になったり安心したりしながら、また前へ進み続ける力をもらえるのがこの交流会なんだろうと思う。オフサイトには、そうした孤独に耐えて「いい仕事」をしようと頑張っている職員が安心して前へ進む力を生み出す場、という役割もあるのかなと思う。
 
◆今回の主なキーワードは、「役所の中だけでの組織風土改革ではなく社会に開かれた組織風土改革」と「行動の結果として組織風土改革が生まれる」の2つでした。後者については、「組織風土改革」それ自体を目的として作り上げようとするのではなく、やるべき情報交換や具体的な取り組みの一つひとつを積み重ねていくことの結果として「組織風土改革」が現実化していくのではないかというものです。
それが、分科会の議論の中から生まれたことがいいなと感じています。
 
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【第二分科会】 概要と参加者の感想

第2分科会は、市町村職員5人、県職員4人という参加者で、新潟から広島まで、地域も規模も異なりましたが、それぞれの職場で活動をされている方も多く、事例を交えながらの有意義な意見交換ができました。この分科会では、「『風通しの良い組織づくり』に向けて参加者が一歩踏み出すためには何が必要なのか」ということを中心に話し合いました。以下、参加者の声です。

 

◆連続4回目の参加です。組織風土改革に取り組まれている方のお話を聞きながら、最初に交流会に参加した時の屈折した気持ちやその後の様々な体験・経験を振り返ることができました。組織風土改革でやはり一番大切なのは、そこに参加する職員一人ひとりの気持ち・意欲であることも改めて認識できました。連休明け初日には、朝からプチ改革のためのオフサイト的な話し合いを実施しました。話し合いのきっかけを作っていただいた交流会に感謝です。

 

◆日頃、このままでいいんだろうかとか、何かできないだろうかとか、どうやったらいいんだろうかとか、いろいろと悩んだり、行き詰まったり、諦めたりしていましたが、他のみなさんも同じように思われていることや経験をされてきたことに、ホッとしたり、参考になることがあったり。みなさんそれぞれ、組織風土改革に向けて頑張ってこられていて、明日から、私も頑張ろうと激励がもらえた1日でした。 

 

◆初めての参加ということで、最初はどのような雰囲気なのか探り探りなところもありましたが、分科会でも皆さんの話を聞いているうちに、自分も今抱えているもやもやしたものを皆さんに聞いてもらうことができました。現在は直接組織風土の変革を担える部署にはいませんが、自団体内で自主研究グループを立ち上げたり、県とのコラボレートなどで元気な職員にはもっと元気に仕事をしてもらい、それが住民福祉の向上につながるような仕掛けをしていきたいと思います。

 

◆最初は、ある意味仕方なく参加させてもらったのですが、本当に参加して良かったと思います。様々な立場の人の話が聞けて私自身エネルギーをもらいましたし、「やらなければ」という使命感を感じました。次回また明るい副市長と一緒に参加したいと思います。その時には、小さな成果でも報告できれば良いなと思います。

 

◆お話していただいた、交流の場づくりの実践事例(成功も失敗も含め)から、共通するものも見つかり、今後に活かすヒントもいただけたことは大きな収穫でした。「つながる場づくり」「ネットワーク」「バージョンアップしながら続けていくこと」「目的・目標を持って行うこと。」「まず自分が行動すること。」「自己PDCAサイクル」などはぜひ実践していきたいです。

 

◆どうすれば組織のシステム改革ができるのかという観点で交流会で意見をいただければと思い参加させていただきましたが、いきなりシステム改革の提案ではなく、その土壌作りが必要だということを再認識させていただきました。そして、一人やろうとせず仲間とともに実行することの大切さも再認識しました。学ばせていただいたことを活かし、また仲間と学びを続けながら、これから本県での実質的な第一歩を進めたいと思います。

 

◆正直いって、最初はどういう方が参加するのか、またどういう話をしたらいいのか、いろいろ不安に思っておりました。オフサイトミーティングでは、皆さんのいろいろなお話を聞いて改めて自分中でモヤモヤしていた部分に少し光がさしこんできたように思い新たな気持ちになれました。

 

◆全く新しい職場での組織風土改革はやらねばならないことだらけですが、今回の交流会でさまざまに感じたことや考えたこと、皆さんとの対話で得たものを、具体的な行動・実践につなげていきたいと思います。今回の交流会は「変化を感じられる交流会」だったという感想を持ちました。私自身も「変革の達人」をめざして、さらに変化した自分を報告できるようにしたいと思います。

 

◆自分もそうでしたが、自分一人で抱え込まず、数人の仲間でフォローしあいながら始めてみることが最初の一歩になるはずで、その点では自分は恵まれていると改めて感じました。印象的なキーワードは、「改革は弱くところ、遠いところ、小さいところから」。自分自身、最近は本庁勤務が続いていますが、地方機関(最前線の現場)で頑張っている職員のモチベーションが下がらないように、こうした職員との交流にも力を入れていきたいと思います。

 

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【第三分科会】 概要と参加者の感想

第3分科会は、所属(国、市、町など)、立場も(首長、副首長、管理職、改革担当者など)、本当に様々でしたが、お互いの悩みに共通するものが多々あり、日々の取組を認め合いながら、率直にアドバイスしあうことができ、信頼に基づく関係性がさらに深まったように思います。リピーターである参加者が、それぞれの活動報告を聞きあうことにより、より進化していくメンバーを実感できるとともに、新たなメンバーから新たな気づきを得て、場の進化(深化)がさらに再生産される。いわば、「好循環」が生まれはじめています。全体を通じて、それぞれの組織で指導的立場にあるトップや幹部層でも、一人では何もできず、粘り強く、人と人とのつながりを深め、小さい取組を積み重ねることから、大きな流れにつなげていくことしかできないこと。結局近道はなく地道な努力が必要であることをお互いに再認識することができました。そして、その認識を共有することにより、また、一人ひとりが明日への一歩を踏み出せる。そう感じた2日間でした。以下、印象的な言葉をご紹介します。

 

◆以前からご一緒させていただいている方々にお会いでき、それぞれの思いや実践を伺い、またまた元気をいただきました。はじめてお会いした方々の熱い思いに感激しました。是非、「小さなことから始める勇気」と「それを大河にする根気」をもって、引き続きご活躍ください。

 

◆町長や副市長さんという立場の方と話ができたのは幸運でした。私の悩みに先生や皆様より「敷居を低くして、いろんな人に意見をいただき、自信は後からついてくるので、頑張って発信し続けることです。」と背中を押してもらったので、悩むことを休んで、前へ進みます。

 

◆コアメンバーを作ることの重要さは言われていて頭でわかっていましたが、中々現実のものとはならない中で、結局、うまいやり方はなくて、「行動し続けることで連携が生まれる」ように仲間づくりも「行動」しかないのだろうと思い至りました。しかし、その「行動」は時として反発を生んだり、無視されたりします。そんなときに、支えてくれる人は組織の外に求めるほかないのかもしれません。「世話人交流会」はそうしたエネルギーをくれる場でした。

 

◆管理職のやる気をどう育てるのか。そのことが、結局組織の目標管理にとって一番の、そして正攻法であることを再確認させていただきました。これからは行政と市民が連携して、政策を創ることでそれぞれのモチベーションがあがっていくでしょう。その変わり目の産みの苦しみが今なのです。行政の人間にとっては、まさに本懐と言うべきおもしろい立ち位置です。

 

◆自治体の組織風土改革の悩み(ツボ)は、それぞれに違うものであっても、それに関わる職員が、フレッシュで前向きな気持ちを失わず、自らの学びを積み重ね、粘り強く次の行動に結びつけていくことには変わりがないのだ、頑張ろう!と実感しました。

 

◆参加者が新たな参加者をまきこんで、確実に輪がひろがりつつあること。
【拡大】前回の会合を踏まえた、その後の取り組み事例が紹介され、それを今回の会合でとり あげるというように着実に前に進んでいること。
【前進】議論の中身も確実に深まり整理されてきていること。
【深化】この3点を確認することができました。そのような交流会に参加できて本当によかったと思います。

 

◆管理職が組織運営をしていくには、仕事の目的意識、自分がそこで何をするかの意識を持つ必要があり、その為には、組織の目標、取り組む内容、実施の為の方針を明確に示し、その内容を組織皆が共有することの大切さを改めて感じさせていただきました。

 

◆今回、いまさらながら気づいたことがあります。苦しくても、自ら動きだし、目標に自分から近づこうと行動する。そのことでしか成果は生まれず。また、他者との連携も生まれはしない。行動が連携を生むのであるということです。

 

◆感じているボトルネックは、つまるところ同じところにあるものだということを理解しあったと思いました。上からの思いと下からの思いが立場の違いによる相互理解不足、達成価値の認識違い等々。そういうことについて、いい提案が出されたものもあり、やっぱり難しいねと同感したものもありました。過去の交流会においても自分の取り組みを紹介しながら参加していましたが、交流会参加の回数を重ねる中で、自分としての参加スタンスが明確になってきたように思います。

 

◆CSとESが表裏一体であるように、自分の幸せは自分に関わる人の幸せと表裏一体にあるのだなと、この場の交流を通じて、そんなことをあらためて思い直してみることができました。職場に戻れば、交流会の話題はすぐに陳腐化し、また異なる新しい課題がやってきて、その解決に追われて過ごす日々がくることと思います。でも、そんな中で、ここで感じ取れたつながりが、たった一瞬でも、みなさんにとって深い経験となって根付いていれば幸せに思います。

 

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行政組織の風土・変革調査(報告者:スコラ・コンサルト 元吉由紀子)

「地域ビジョン実現のための行政組織の変革とリーダーシップ」
2010年経営行動科学学会第13回年次大会パネルディスカッション資料をもとに報告した。

 

1 変革を求められる行政組織と職員
~首長ビジョン実現のための行政の組織風土と職員の意識改革要因~
(日本橋学館大学 教授 宮入 小夜子)

 

◆2009年7月に、日本橋学館大学とスコラ・コンサルトとが共同で、「行政組織の組織風土改革実態調査」を実施した。
(人口1万人以上の自治体1362件対象、回答509件)

 

◆ほぼ全ての首長が「役所の風土・体質、職員の意識改革が必要だと感じている」が、実際に「職員が改革に意欲的に取り組み、能力を発揮している」と感じているのは40%余り。

 

◆「マニフェストに行政組織や職員意識の改革に関する項目を入れている」のは、70%弱。
 

◆「マニフェストが総合計画に十分に反映されている」のは、全体の60%余り。特に、1期目の首長では、5割強にとどまる。
 

◆そこで、2010年10月に、就任1年未満の首長とその行政組織を対象として、首長のリーダーシップとその対応、職員意識について、「行政組織の変革に関する調査」を2つの自治体(1市、1町)の全職員を対象として実施した。
 
◆1町の調査結果によると、現在の首長になってからの、役所の状況について、
「首長はマニフェストなどの中で、まちづくりのビジョン(めざす姿)を明確にしている」(かなり強く感じると少し強く感じる合計)は、80%を越えてかなり多く、「首長の掲げるビジョンは、時代の要請や地域のニーズに合ったものだと受け止められている」は、60%を越えて多くあったのに対して、「首長のビジョンに対して、多くの職員は共感し、実現したいと思っている」は、40%弱だった。
 
◆同町において、現在の首長になってからの職員自身の個人的な変化ついては、
「首長のビジョンを知っている」(かなり強く感じると少し強く感じる合計)は、80%、
「首長のビジョンに共感している」は、60%弱、
「首長のビジョンを意識して日常的に行動している」は、40%強だった。
 

◆これらの調査結果から、組織全体としては、ビジョンの明示が、ビジョンの納得性へつながり、職員のビジョン実現への願望につながっており、個々の職員においては、頭の理解から、心の共感へ、そして、行動の変容へと進んでいることがわかる。

 

2  新首長のマニフェスト実現のための変革プロセス
(株式会社スコラ・コンサルト プロセスデザイナー 元吉 由紀子)


◆首長の思い(マニフェスト等)を実現するためには、組織を動かしている「PLAN」を変える必要がある。
 
◆首長の交代時には、組織内がダブルスタンダード(新首長のマニフェスト等と旧首長時代の総合計画)で動いている。
 

◆新首長就任後に、マニフェスト等を実現にあたり、既存の計画(総合計画、財政計画、行政改革プラン、人材育成方針・計画など)の改定時期がさまざまなことが課題となっている。
 

◆首長就任後は、まずはじめに首長と職員が対話して、「PLAN」を変えていくためのプロセスが必要になる。
 

◆「PLAN」を変えていくための対話プロセス


   1.職員が、「新・PLAN」をしっかり理解する
  2.首長が「現・PLAN」をしっかり理解する


特に、新・PLANを伝えることに熱心でも、現・PLANについての相違点とそのギャップ解消法について語り合うことが少ないのではないか。


  1.何を変える必要があるのかを一緒に考える

 

特に、「PLAN」の背景にあるミッション、ビジョンから見直す必要の有無を語り合うことが大切である。
 
これらの情報をもとに、交流会参加者の間で、自組織における実態について意見交換を行った。


 

 


 
 

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