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行政経営デザインメールニュース 2020年10月

Withコロナにおける年度半ばのふり返りポイント

新型コロナウイルスの感染が、世界各国で再び拡大しています。一 体いつ終息できるのか、まだ先が見えてこない状況です。そんな中、 今年度も早2分の1が過ぎました。
人事評価の中間面談も終えた頃だと思いますが、そこではどのような話が聞けたでしょうか。本来であれば、年度当初に立てた目標の 進捗状況を確認して、年度後半に向けた改善の方向づけをするとこ ろです。しかし、コロナ禍にあってはこれらの話題がすんなりとは 進められないことも多かったのではないでしょうか。例年の面談内容と比較して過不足があったところを、ぜひ日々の職場のマネジメントの中でフォローアップをいただければと思います。

●一人ひとりをケアし、安心できる職場環境をつくる

職員のみなさんは、昨年度末から年度半ばに至るまで、新型コロナ ウイルスの感染を警戒して、相当な不安を抱えながら仕事をしてお られたことと思います。さらに、役所には、住民のみなさんが不安 を抱えて問い合わせをされます。特別定額給付金の支給やマスクの配布を始め、国から各種の補助金や助成金、支援金、給付金などの 制度が矢継ぎ早に出されて、対応に追われました。これらに対応しつつ、通常業務もする必要があり、さぞや心身共にお疲れが出てい ることでしょう。

そんな時、互いの疲れをカバーし合うために大事なのが職場内でのコミュニケーションです。

しかし、このコロナ禍では、職場でもテレワークや時差勤務、三密 を避けた配置換えなどがあるとコミュニケーションを取ること自体 が難しくなります。職場の同僚どうしでも、互いに仕事の濃淡を知り合い、疑問を相談し合うことがしにくくなっているかもしれませ ん。マスクをしていると「笑顔」も隠れてしまうなど、顔つきがわ かりにくいと、心の不安は高まるものです。 そして、せめてものアフター5に同僚と疲れを癒したいところです が、今は飲み会やレクリエーションもしにくい状況にあります。

それゆえ、職場では、日々のちょっとした息抜きができる時間を設 け、雑談をして心身の緊張感をほぐす環境をつくることが必要です。
最近では、「1on1ミーティング」など上司と部下が個別にミーティ ングして、仕事を通じて経験したことをふり返り、ざっくばらんに 課題や悩みを共有する中で、フィードバックをして、成長を支援す るやり方を取り入れる職場も出て来ています。 このような機会を週1回、または、月1回定期的に行うことができれば、業務報告だけでは見過ごしがちな体調の変化を把握することにもなります。職場内の職員どうしのつながりが薄れ、バラバラに なりがちな環境下では、常に「自分のことを知ってくれている」上司がいることは、大きな安心感の礎となるものです。職場の信頼関係の軸となる人がいれば、困ったことを気軽に声に出して、協力し合う結束も取り戻しやすくなるでしょう。

●苦労した経験をねぎらい、得られた実績を次に活かす

人事評価制度の目標管理は、本来自ら目標を設定する自己目標管理 をベースに進捗を管理しています。しかし、このコロナ禍においては、予期しない突発的な業務が多く発生し、部署を超えた応援体制をつくるため兼務辞令を受け方もいたのではないでしょうか。予め目標を設定した上で取り組む余裕などなかったものと思われます。

このような状況で通常の目標管理が成り立たない業務については、 目標の達成度を管理する方法に固執せず、「何のため、何をして、 どんな結果が得られたのか」、実績を確認する方法のほうが馴染 みます。

ただし、業務の結果報告を受けるときには、単に実績を確認するだ けでは不十分です。その中で苦労した経験を共有し、労をねぎらうこと、さらには、それが住民や地域にどんな意義があったのかについて、意味づけて感謝する言葉がけをすることが大事です。

また、緊急時の対応は、その時は慌てていたことから、何とか急場 をしのいだとしても、全体像を的確にとらえていたわけではないことがあります。できるだけ関心がホットなうちにふり返り、現場で取った対応の良かった点や問題だった点について記録を残しておく ようにしましょう。そして、次にこのようなことがあればどうすればいいのかについて「危機対応マニュアル」を作成しておければ、 組織全体のリスクマネジメント力が高まります。

●アフターコロナの新時代に向けて、ゼロベースで見直す

今回の新型コロナウイルスへの対応では、世界各地の都市でロック ダウンするまでの異常な事態となりました。一方、そのような中で、 国内では「テレワーク」や「WEB会議」「電子化」などの動きが加 速して進んだ側面もありました。通常なら何年も検討されつつなか なか進まないような制度の見直しが、新しい内閣における行政改革 やデジタル化の動きを通じ、仕事のやり方や働き方を大きく見直す 取り組みにつながってきています。

地方では、予定していたイベントやインバウンドでダメージを受け る反面、これまでとは異なる移住・定住や企業の移転、副業、ワー ケーションにチャンスが到来しています。病院の「オンライン診療」、 介護における「IoTを活用した見守り」、窓口に代わる「AIによる 相談受付」など、各種の規制緩和もされれば行政サービスのあり方が変わる可能性もあります。

そうなると、今年度の行政評価は、例年よりも重要度が増している と言えます。それは、昨年度の執行結果を評価することよりも、今 後の事業の目的・目標を当初の計画・予定のままでよいのかどうか、といったことから見直す必要性が高まっているからです。アフターコロナの新時代に対応した事業のあり方を考えるときには、場合に よってゼロベースで考え直すことが出て来るのではないでしょうか。 これら事業の見直しにあたっては、より上位の施策目標からとらえ、 関連する事業にも幅を広げて、新しい事業の創造が求められている のだと思えます。

新型コロナウイルスは、まだ世界中で猛威を振るっています。次年 度のオリンピック開催についても、どのような開催方法になるのか はまだ見えていません。予定どおりにはできないことや、新たな想 定外の危機が、年度後半にも起こる可能性がありそうです。 年度半ばのふり返りから、少しでも柔軟に対応できる職場づくりが 進められるよう、職場みんなのチームワークを高めていただければ と思います。

行政経営デザイナー/プロセスデザイナー 元吉 由紀子

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