Column コラム
行政経営デザインメールニュース 2024年04月
組織風土改善取組の振り返りから次のチャレンジへ
NPO法人自治体改善マネジメント研究会では、2023年度から「公務員の 組織風土改善セミナー」を基礎コースと実践コースに分けて年2回、上期と下期に実施しています。実践報告会では、実践コース参加者の中から4人の方がセミナーで職場課題の解決に向けて取り組んできたプロセスと成果を報告されました。
【実践報告1】 西川 展子(にしかわ のぶこ) 和歌山県教育庁教育支援課 副課長
「教育と福祉のカタリバ2023 ~対話と実践の場づくりにチャレンジ~」
概要:教育と福祉が部局の壁を越えて連携できるよう、オフサイトミーティングを 活用して、不安を抱えつつ迷走しながらももう一人のコーディネーターと相談し合い、12回の場を重ねることによって、次第に協力関係ができ、チームとなり、笑顔が生まれ、楽しくなってきた。
得られた気づき:信頼関係が高まれば場の沈黙や迷走を乗り越えられる。取組テーマ、目的、ありたい姿が定まっていることが大切。
次のチャレンジ:今年度の成果から次は学校現場での実践にチャレンジして、その成果をオフサイトミーティングでブラッシュアップしていく
同僚の参加者からのコメント:場が迷走した時は産みの苦しみを感じたが、信頼関係が築かれていく過程を経験することができた。
西川さんは部署連携に取り組みながら、「カタリバ」と名付けて オフサイトミーティングを活用し、何度も対話を重ねることによって 組織の壁を低くし、不安・迷走を乗り越え、参加者間に信頼関係を構築して、仲間とともに次へつながる成果をあげています。
【実践報告2】 舟根 秀也(ふなね ひでや)富山県商工労働部次長
「県庁プロジェクトチーム座長のつぶやき」
概要:「『大阪戦略プロジェクトチーム』の運営」、「『ウェルビーイング経営の推進』 タスクフォースの運営」で、メンバー間の信頼関係の醸成などに壁を感じるも、自らの積極的な声掛け、コミュニケーションをとることで取組を推進。
得られた気づき:オフサイトミーティングの運営には「ジブンガタリ」が大事。 デジタルが進んでもコミュニケーションが大切。相手でなく自分が変わることの大切さ。小さな成功体験の積み重ねが大切。
次のチャレンジ:セミナーでゴールデンサークル理論を根づかせる取組に チャレンジしたい。今回の経験をもとに部のマネジメントに活かしていきたい。
同僚の参加者からのコメント:プロジェクトはオフサイトミーティングのプロセスを踏んで取り組んだ事例、こういうやり方が県庁内に広がるといいと思う。
舟根さんは、部署連携、地域連携に取り組み、自ら客観的に取組を評価しながら短期間にいくつも段階を進め、ロジカル思考型ながらも、壁に当たるたびに、会得した人間性あふれる対応で壁を乗り越えて成果に結び付けています。
【実践報告3】 荻布 彦(おぎの ひこし) 富山県職員研修所長 兼 土木農林DX・働き方改革PT統括担当
「プロジェクトチームでのオフサイトミーティングの活用と運営スキルの継承」
概要:プロジェクトチームでのオフサイトミーティング活用事例。土木農林DX・働き方改革PTの中から3つのワーキンググループ(以下、「WG」) を選択し、「モヤモヤガタリ」をIT活用してバーチャルで開催。オフサイトの取組とオンサイトの会議の交互開催を意識的に進め、 取組の実現性を高めた。
得られた気づき:組織風土改善セミナーの効用として、マネをしようと思える取組み方がある。自分では思いつかないような発想や運営に行き詰まった時に アドバイスを得ることができる。
次のチャレンジ:組織の中にもオフサイトミーティングを使ってみようという流れが出てきており、これからもオフサイトミーティングを活用した改善に取り組んでいく。
視聴された参加者からのコメント:幹部のみなさんがオフサイトミーティングの 火付け役になって、モノが言いやすい職場や心理的安全性が確保される職場を作ることが、働く人にとってもやりがいが高まり、仕事の成果も上がってくる。参加したくなるようなWGのネーミングをしているのがいい。
荻布さんは、長年オフサイトミーティングを活用して業務改善を実践してきた 経験を生かし、部内のいくつものWGを独自に創意工夫したオフサイトミーティング として活用した手法で運営しています。
【実践報告4】 柿沢 昌宏(かきざわ まさひろ) 滑川市副市長
「職員が働きやすく、改革を実践できる市役所づくりに向けた歩み」
概要:組織の活性化が効果的な政策を進めていく上での前提、基礎との認識に立ち、副市長自ら市長とともに若手の人材育成に取り組んだ。第1弾は、若手職員全員とのミーティングを市長、副市長と職員5人ずつの グループで行ない、ジブンガタリ、モヤモヤガタリを実施。 職員からの意見のうち、できるところから改善。
第2弾は、応募による若手職員5人と市長、副市長が政策ミーティングを行ない、 政策提案により条例化や組織改正を実現。
第3弾は、「総合計画の策定」と管理職の意識改革のため、 官房系の課長級5人と副市長が「チーム行政経営研究会」に取り組む。
次のチャレンジ:新しい総合計画を職員、市民へ浸透させる。市役所職員の人材育成を行う。市民・民間との共創プロジェクトの検討を進める。
視聴された参加者からのコメント:副市長のオフサイトミーティング活用で 若手職員が市長、副市長に直接自由に意見が言えているのが良い。DXなどうまく進まない課題への突破口となる若手職員を増やすことは大切だ。オフサイトミーティングは意識変革・醸成に有効であり、 ボトムアップだけでなく上から引っ張っていくことも大事。
柿沢さんは、副市長として自らが市役所の風土改善にオフサイトミーティングを 活用し、ジブンガタリで心理的安全性を確保してメンバー間の信頼関係を築き、モヤモヤガタリで本音を語り合い、アイデアを出し合うなど対話を積み重ねていくことで課題解決へと率先して進めています。
公務員の組織風土改善セミナーは、課題、問題を解決したいと思っている人たちが、組織風土改善のポイントを学び、周りの人たちと共にプロセスの実践を通じて解決を図っていくことを目的としています。【基礎コース】では、改善に向けた基本的なチェックポイントの理解と改善への取組の第一歩を踏み出す場づくりをし、【実践コース】では職場で実際の動きを創り出しながら継続的な学習を通じて改善力をアップし、課題を解決していきます。
今年度仕事をスタートするにあたり、仕事のしかたを見直したいとか、職場のチームワークや風土に問題を感じていたり、他部署や他機関、官民の協力関係を築いていきたいと思っているようでしたら、先ずは本セミナーの基礎コースでご一緒に取り組んでみませんか。申し込みを開始していますので、ご参加をお待ちしています。
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NPO法人自治体改善マネジメント研究会会員 小山 巧(元三重県職員、元三重県病院事業庁長、元南伊勢町長)