Experience 体験記
「どうすれば役所は変われるのか」 北九州市セミナー体験記
組織名 | 北九州市 |
応募者 | フロッグ北Q |
※敬称略
セミナーの申込み以前に、既に組織風土改革の取組みに着手していましたか?
◆していない
<参考>
北九州市役所の組織風土や職員の意識に危機感を持った総務市民局の係長有志8名で、平成19年8月に自主研究グループ『フロッグ北Q』を発足しました。
北九州市では、20年前にCI運動を展開し、職員のやる気や仕事に向かう姿勢、さらには、上司と部下、あるいは、組織間のコミュニケーション等、職員の意識や組織風土が向上した時期がありました。しかし、昨今の厳しい財政事情の中、予算も職員も削減されていく中、やる気を感じられない職員が多くなってきています。多様化する市民ニーズに応えていくためには、職員のモチベーションを高揚させ、組織のコミュニケーションを改善し、良好な組織風土を確立した上で、より効果的な行政運営を推進していく必要があります。
そのため、職員のやる気を引き出し、組織改革を推進していくChange Agent(変革者)が必要であると感じていましたが、一人では旗を振って変革しようとする勇気はありませんでした。そこで、係長の有志8人が「Change 北九」を目指し組織風土についての研究を始めました。
本会の名称は、本市の組織をいきいきとしたものに変える「蛙(フロッグ)」ことや、「阿Q正伝」の著者で人の意識改革に情熱を注いだ魯迅にちなんで、『フロッグ北Q』としました。
発足後は、月2~3回のペースで開催し、市の現状(財政状況など)や課題(職員アンケートの結果分析など)、他団体の取組み(トヨタ自動車九州、他自治体など)の研究を行っています。
活動する中で、個人的なレベルでおかしいと思っていたことが、メンバーをはじめ実は意外に多くの人が同じような思いを持っていたことに驚きました。
具体的な組織風土改革や職員の意識改革に向けた取り組みには至っていません。
セミナーを申込み、開催するにあたって、どんな準備をされましたか?(著者との事前打ち合せなどを含め、準備にあたり考え、動き、気づかれたことなど)
セミナー申し込みにあたり、フロッグ北Qの設立経緯やこれまでの検討内容の総括、および元吉さんへの質問内容の整理等を行いました。
<総括したこと>
三位一体の改革の後、地方財政の悪化、公務員バッシング等の急激な環境変化により、地方で働く公務員は、その基本的行動指針を見失いつつあります。
このような環境の中、「公務員としての誇り」や「仕事に対するやりがい」を維持することが困難になっている状況を改善し、誇りを持って、やりがいを感じながら仕事に取り組む環境の実現に向けて取り組む必要があると考えました。
その議論がある程度一巡し、一つの区切りあるいは次のステップへの移行を模索し、その羅針盤を求めています。
<質問しようと思ったこと>
・ 組織風土改革を継続している自治体の成功の秘訣は?
・ また、活動が失速していった事例は?その原因は?
・ オフィシャルな運動への移行に関して、その手法(ボトムアップorトップダウン)やタイミング、巻き込み方(動機付け)について
出張セミナーは、どんな目的、方法、状況で開催されましたか?(対象者、人数、時間帯、対話会の有無、進め方、主な内容、参加者の思い、様子など)
(セミナー自体は、福岡県市町村職員研修所が主催しため、ここでは省略しています。)
セミナー参加者の感想や反応は、いかがでしたか?
我々のグループとの話し合いの時間を特別に取っていただき、基本的なこととして、
(1) グループ参加者それぞれの思いを引き出し、グループとしての到達目標を明確にするための時間をきちんと取ること、
(2) モチベーションをアップさせるような意識改革は、(給与体系や組織体制を変えずに)一朝一夕にできるものではなく、あせらずに、グループの身の丈にあった、(とりあえず)できることから取り組むこと
の重要さがわかりました。
安易な手法や技術的な手解きをするのではなく、当たり前?とも思えましたが、その当たり前のことができていなかったことを、短い時間の中で的確にご指摘いただきありがたく思います。
元吉さんとの対話会で「皆さんはこの活動を通じて何をしたいのですか?」と質問された時は、本当に困りました。なぜなら我々が対話を重ねてきたことは愚痴に過ぎず、「何をしたいのか。どのレベルで、どこまで持って行きたいのか」と言うことについて真剣に話し合ったことがなかったからです。
対話会の途中で元吉さんがおもむろに黒板に向かって「蛙」の絵を書き始めました。そして仕事上の立場にとらわれず、自分は何がしたいかを発言することが重要とやさしく諭していただきました。
自分達は、何をしたいのかの目標もなくスタートラインに立ったばかりですが、裏を返せば何も縛られることなく「何かが良くなるのなら何を検討してもOK」であるということに気づかせていいただきました。
内部からは見えにくかった私達が置かれている状況や問題点を外部の専門家の視点から端的に指摘いただき非常に有意義でした。
セミナー後、何か変化はありましたか?(いつもと違う様子、ちょっとした会話、新たな気づきや動き、取組みなど)
元吉さんとの話し合いで、グループとして、(1)まず何をするために、(2)何がしたいのかという根本のところ(個々人の思いにズレもあった)が明確でないことがわかりました。
そこで、これまでに洗い出した市の現状や課題をもとに改めて検討を行い、
(1)何をするために
を、
公務員が自信を持って働くことができるためには~取り戻せ!公務員のプライド~
と決め、今後、
(2)何がしたいのか
(1)で掲げた目指すべき方向性を基本に、取り組める施策や具体的な事業を考えようというところが見えてきました。
たまたまチャンスをいただき、元吉さんのセミナーと対話会に参加し、福岡市や九州地方整備局等の職員と交流することができました。
しかしながら、まだまだ限られた情報しかなく、もっと多くの人と出会い、オーガナイザー的な人材や同じ想いを持つ仲間とのネットワークを広げるべきだと感じています。
セミナーや対話会に参加し触発されましたが、我々の活動はまだまだ愚痴の域をでないレベルです。
また、たった8人のメンバーの目指す方向は一緒であるはずなのに若干のギャップもあることに気づきました。全員が集まれる機会を多く持ち、皆が納得し8人の絆をもっと強めていく必要があります。
つまり、自分たちの活動は「打上げ花火」でなく「火種」のように無理なく続けていくべきであると思います。
次は、北九州市役所として目指す姿(どうしたいのか)をきちんと描き、それを共通のものとし、さらにそれを実現するためにはどういう手法、ステップが良いのかをいろいろな考え方や事例を参考にしながら考えていきたいと思います。
本を読んだ時と一連の体験を経た後では、組織風土改革やプロセスデザイン、改革を支援するプロセスデザイナーの存在などについて、とらえ方に違いはありますか。
(本を読んだ時) 組織風土改革についてのノウハウを指導してくれる存在。
(セミナー後) それぞれの組織によって解決方法が異なるため、改革を行いたいと考える職員に何が課題であるか気付かせるとともに、具体的な解決方法についても一緒に考え、ヒントを与えてくれるなど、側面的なサポートをしてくれる存在。
スポンサーから一言(思いや、応援メッセージなど)
(特になし)
今後スコラ・コンサルトや著者元吉由紀子に期待することや質問などはありますか。
我々のように、組織風土や職員の意識改革を行う必要があると考えていても、どのように活動したらよいのかわからない方々が全国の自治体に多くいると思います。その方々のヒントになるような、サポート(ホームページや出張セミナーなど)を引き続きお願いしたいと思います。