Experience 体験記

「期待される役所へ」熊本県人吉市(平成24年10月実施)

組織名 人吉市
実施日 平成24年10月23日(火)
応募者 総務部総務課 課長補佐 溝口 尚也
場所 人吉市役所本庁舎3階第1会議室
テーマ 行政経営研修「人吉市職員行政経営セミナー」 ~改革のやらされ感をなくしてやりがいを育てる職場づくり~
構成 講演会90分+質疑応答30分
対象者 部長級~課長級職員(及び聴講を希望するその他の職員) 39名

※敬称略

どのような目的で依頼しましたか

 

当市では、市長2期目のマニフェストをもとに、平成24年3月に新総合計画を策定しました。それを受けて、現在行革大綱の策定作業中であり、地域経営と行政(役所)経営の「軸」を合わせつつある段階といえます。また、来年度には人材育成基本方針の改定を予定しています。
 

このように、地域経営、行政(役所)経営の理念・ビジョン、つまり、「経営の軸」が明示されることを受けて、今後は「経営の軸に合わせて人と人を育てる職場」をつくる必要があることから、これまで以上に幹部職員・管理職の役割が重要になってきます。


ついては、ミドル層である部課長を対象として、次の目的のもと、この講演会を企画しました。


■行政経営における「組織使命」と「組織目標」の目的とその意義、及び「職場ビジョン」を描くことの重要性への理解を深める。


■これからの行政経営において組織が柔軟に変化に対応していくために、その実行のカギを握る部課長の役割をそれぞれが認識することにより、職場での実践の動機づけとする。

事前準備、案内、会場設営等で配慮したことは何ですか

 

・事前に著書を紹介し、事前学習のすすめを周知した。しかしながら、研修開催通知から当日までの期間が短く、徹底しなかった。反省点としたい。
 

・事前打ち合わせについては十分ではなかったが、講演までに十分に時間がとれる早い時間帯に当地入りしていただいたので打ち合わせ時間も確保することができた。また、元吉講師は通算4回目の来訪であり、当市の事情もよくご存じであることから、受講者名簿での顔ぶれを見て臨機に内容を検討していただくこともできた。
 

・研修前に、スポンサーとしての市長と講師の意見交換を設定し、講演内容に反映していただく予定としていた(市長と講師は旧知である)。急遽公務の都合で事前の意見交換はできなかったが、一方で、副市長に受講を依頼するとともに、初対面である副市長と講師との昼食をセッテイングし、スポンサーである副市長と講師のリレーションづくりができた。


・元吉講師の提案で、研修会場では机を使用せず、講師を中心に扇形になるよう配置し、受講者が一体感を感じられるような設営とした。


・株式会社ぎょうせいの担当者に依頼し、会場で『期待される役所へ』等、関連書籍の紹介等を行なった。

講演は、参加者にとっていかがでしたか。どのような気づきや感想がありましたか

 

【気づいたこと】

・組織は急に変われない。風土体質を一緒に変えていく中での氷山モデル「人と人とのかかわり方」の重要性。
 

・「改革をしていますか?」「改革をうまく進められていますか?」「何か変わりましたか?」との問いに「はっ」としてしまった。年度当初の行動指針を部の職員と共有しスタートしたが、半年が経過し、日常業務に追われる中で、目的意識が希薄になってしまっていることに気付いた。


・コミュニケーションは、「人づくり」の欠かせない潤滑油である。
 

・仕事の質の向上と個人の成長をつなげる「職場力」。戦略をすすめていく場合、課の垣根を超えたチーム○○部の職場力が必要。
 

・確かに仲間うちの飲み会の場が少なくなった。天の時は地の利に如かず。地の利は人の和に如かず。


・部下の話に耳を傾ける。聞くではなく「聴く」ということ。氷山の9割の見えない部分、気付かないことを見抜く必要性を感じた。


・管理職が新しい役割を発揮しているか。トップのことばを自分のことばに翻訳する力。成功体験と失敗を体験し乗り越えていく力。創造型と支援型。管理職のあるべき姿を見せていただいた。


・リーダーシップとスポンサーシップ。水をやれば種は目を出す。


・コミュニケーションには段階があり「ビジネスコミュケーション」から「パーソナルコミュニケーション」へと、その質を高めていく必要がある。職員感のコミュニケーション不足。「レベル1」のあいさつは交わせるようになったと思うがより高いレベルの必要性。


・部課長の役割→変革支援型のスポーツシップへ。管理職になって6か月。これまでの接し方がよいのか、暗中模索の日々。


・改革に対する質問「改革がうまく進められているか」について、進んではいるが、スピードが遅いと感じた。今改革を進めており、今年度の折り返しで、次どう進めるか考える。


・新しい気付きはなかったが、オフサイトミーティングの重要性を再認識。



【感想】

・「聴くこと」を実践し、精一杯「無駄な声かけ」をしたい。
 

・目的意識が希薄になっていることを確認しあい、年度後半の組織目標達成のための行動を再確認する。11月の部内の会議で話し合い、共通認識を持ちたい。著書への署名ありがとうございました。業務のバイブルとして大切にします。


・研修の成果を情報共有につなげていきたい。後半急ぎ過ぎ。後半のポイントが重要と考えます。


・イベント等を通じて「チーム○○部」として対応し、職場ぐるみで取り組むことが楽しいと実感できるようにしたい。次回は、泊まり込み研修がしたい。


・胡耀邦は「幹部たる者少なくとも2億字の本を読め」と言いましたが、元吉先生の著作もすべて読んでみたいと思います。「一華を見て春を推せよ」。短い時間でしたが十分理解できました。


・氷山モデルについて、部下の報告やヒアリングなどから、9割の見えない、気付かないことを見抜く必要性を感じた。実践したい。


・創造型と支援型。管理職のあるべき姿。時と場合によってどちらが必要か、しっかり判断し行動できるようになりたい。「あるべき姿」をはっきり見据える目とそれをしっかり発信できる言葉。周りを巻き込んで力に変える情熱が、足りていないと感じた。


・コミュニケーションには双方向性があると思いますが、まず、こちらからの「声かけ」を心がけたい(職員の仕事の邪魔にならない程度に)。「改革」に対する理解はしていても、実践するための役所の体質が変われていないと思います。個々の職員が意識しないとダメなんですね。


・職員の資質・能力を引き出せるようにしたい。楽しい講義ありがとうございました。何度でも人吉においでください。著作を購入しましたので、ゆっくり拝読させていただきます。


・改革を進めてはいるが、スピードが遅い。次をどう進めるか。コミットメントをより強く。


・受講前に「期待される役所へ」を拝読。その中には、今後役所が陥りそうな落し穴について指摘されていた。よろしければ、その内容をより具体的事例を交えて講義をお願いしたかった。大変失礼な内容となりましたが、期待が大きかったものですから。申し訳ありません。

 

セミナー全体をふり返って、今後取り組もうと思うことや、「期待される役所へ」の活用、行政経営デザイナー元吉由紀子の印象、今後の活動、支援に期待することなど

 

・元吉さんには、事務局の事前準備不足にも関わらず、限られた講演時間に比べてかなり欲張りな目的を盛り込んだ講演内容を御依頼したと反省している。受講者は、これまで元吉さんの講義を受講したことがある部・次長等の職員と全くはじめての管理職層とに分かれているが、元吉さんはそこをうまく察せられて、目的が拡散してしまわないように、どちらかというとはじめての層に焦点をあてた内容で御講演いただいた。臨機応変の対応に感謝したい。
 

・特に、改革のために組織の風土・体質を制度・仕組と一緒に変えていくことの必要性を中心に、氷山モデルを例に組織風土改革のベーシックな部分について、十分に時間をとってお話していただいた。このことで、著書を事前に学習してきた受講者には一部不満もあったが、全体として、はじめて受講する職員には好評であった。おそらく「制度、仕組みを変えただけでは組織は変わらない」という実感は、職員誰もが多かれ少なかれ感じていることであり、肌感覚として受け入れやすかったのだろうと考える。また、既に元吉さんの研修を受講したことのある職員にとっては、氷山モデルは既知のものとして、それぞれの取組を肯定的に振り返ったり、さらなるコミットを決意したりと前向きに受けて止めていることが印象的であった。


・とはいえ、自分たちの組織・風土というものを客観視した上で、さらに自分の課題として主体的に改革に取り組むことに対して、まだ当市の職員意識としては希薄であると感じている。もとより問題に気づくこととその解決に向けて主体的に行動を起こすことは別の課題ではあるが、どのような行動を志向すればよいのか、その方法、やり方が容易にわからないから皆苦労する。ところが、今回の講演で、そのようなものがハウツーのように用意されているわけではなく、問題を解く鍵は職場の「コミュニケーションの質」を上げていくことにあるということが、多くの受講者に了解されたことと思う。さらに、そのコミュニケーションの質を向上させることが、管理職の新しい役割だということを理解し、困難を感じながらも実践に取り組んでいこうという感想がアンケートに見られたことは思いがけない喜びであった。


・今回の講演を契機として、「変革創造型のリーダーシップ」と「変革支援型のスポンサーシップ」が管理職の新しい役割であるとともに、仕事の質の向上と個人の成長をつなげることがすなわち「職場力」であるという意識を、幹部・管理職層、さらには一般職員にも浸透を図っていきたいと感じた。


・それらをふまえて、制度推進部署の今後の取組方針としては、人材育成基本方針や人事評価制度であったり、組織目標管理や事務事業評価などの改革ツールは、現場の「職場力」を下支えするものと明確に位置づけて、諸制度を整備、推進していきたい。


・今後の具体的な取組としては、組織目標管理導入などのハード整備を図りつつ、各自が職場の現状をふり返って、具体的なマネジメントに関する改善方法を見定め、「行動変革を動機づける」ための管理職研修などの取組を通じて、「やらされ感をなくしてやりがいを育てる職場づくり」を目指していきたい。
 

スポンサーの感想、または、思い、応援メッセージ

 

 

公務員は民間と違って基本的にリストラされることはありませんので、長年働いているとわざわざ手間暇をかけて新しいことをするよりも、前例踏襲、与えられた仕事をこなす「やってるつもり」で満足している人が多いのではないでしょうか。
 

今回のセミナーの中で、「問題があってもそれが問題だと感じにくくなっている」、「問題だと感じていても解決する当事者になろうとせず、評論家になっている」ことを聴き、気づかされることがありました。


 長引く景気の低迷や雇用不安、高齢化等が進む中にあって、地域住民の行政に対する期待は高まっていると感じています。当市では本年3月に策定した新総合計画に基づき政策を実行していくわけですが、市民から「期待される役所」となるためには、職員一人一人が現状に満足するのではなく、常に時代の流れと環境の変化を読み、新しい行政の在り方を創造することが必要ではないかと考えています。


 今回のセミナーでの「学び」により、「気づき」を得ました。その気づきを行政のサービス向上に「生かす」、また、部下にも「つなぐ」ことができる組織体制、目標に向かって果敢にチャレンジすることができる人材育成を目指して行きたいと思います。(人吉市副市長 高橋  隆)

 

 

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